着物の『畳む』文化
毎晩着物を畳む度に、この畳む文化はすごいと感心しています。
折目正しく美しく。
なんて合理的なのだろう。
私は帰宅後、1〜2時間着物を干した後に必ず畳紙(たとうし)に仕舞います。
着物のことをよく知らなかった時には、洋服のように何日も干しっ放しにしていました。
すると裾のところが、弛んでしまいました。
着物は重いので、その重みでハンガーから布が下がってしまったのです。
袷の場合、着物の内側と外側では伸縮率が異なるので、重力にも繊細に反応したようです。
考えが足りませんでした。
単衣や薄物の干しっ放しは、弛みはなかったものの、裾に斜めのシワ線が入り、美しさが減じてしまいました。
着物は生き物なのだと思いました。
ひと手間が必要。
干して終わりではなくて、畳むことで美しさが維持できるのです。
省スペースで、省エネ。
重力が自然なアイロン作用を生みます。
この着物を畳む文化。
公私をきちんと分けることが重んじられた身分の人々の間で、大いに発展したことでしょう。
日本の国土は、今でさえ75%が山地です。
山地は急峻な地形のうえ、平地はぬかるみが多く、すぐに服装が汚れてしまいます。
都に上洛する際、おそらく途中移動は平服で過ごし、人口の多い都市に入る前に綺麗な服装に着替えたのではないかと思います。
人口の多い都市には、至る所にスパイが潜んでいますし、民衆の評判も落とすわけにはいきません。いつ何時もパリッと格好良くしておかないと、地位を落としかねません。
そのような折に、この平面に畳める着物は非常に効率的です。
ひと手間。
機械の力で強烈に折るのではなく、温かい手で優しく撫でて畳む。
だから、着物の折り目は柔らかい。
優しい女性の気質にぴったりです。
はい、今日もお疲れ様でした😌🤲